夏目漱石「自分に誠実でないものは、決して他人に誠実であり得ない。」

夏目漱石「自分に誠実でないものは、決して他人に誠実であり得ない。」

今日12月9日は、明治の文豪・夏目漱石の命日、「漱石忌」です。急速な近代化の中で「個」のあり方に悩み続けた漱石。彼の作品『行人』に登場するこの一節は、時代を超え、現代の複雑な人間関係や組織論においても鋭い光を放っています。

「自分に誠実でないものは、決して他人に誠実であり得ない。」

作家 夏目漱石

ビジネスにおいて「顧客第一」や「メンバーへの誠意」は基本ですが、その前提として、まず「自分自身を偽っていないか」と問いかける言葉です。 自分が本当に良いと思っていない商品を、言葉巧みに顧客に売ることができるでしょうか。自分が納得していない方針を、部下に熱意を持って語れるでしょうか。一時的には取り繕えても、自分を騙している歪みは、必ず相手への不誠実さとして伝わります。 リーダーシップの根幹は、スキルよりも「在り方」にあります。自分の価値観や良心に嘘をつかないこと。その自己に対する厳しさ(インテグリティ)があって初めて、他者からの真の信頼を獲得できるのです。迷った時こそ、自分の心に正直な選択をすることが、結果として最強の戦略になります。

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